Vol.01 日暮里
昔ながらの下町の風情を残して
再開発で暮らしやすくなった街、日暮里。



高まった暮らしの利便性。
JR山手線と京浜東北線、京成本線の停車駅であるとともに、2008年に開通した「日暮里・舎人ライナー」のターミナル駅となった日暮里。駅ナカ施設の「エキュート日暮里」をはじめ、駅前の再開発によって誕生した3つのビルからなる「SunMarkCity」には、商業・医療など日常の暮らしに便利な多彩な商業施設が集まっています。また、「日暮里・舎人ライナー」新駅とをつなぐデッキが整備され、エレベータによるバリアフリー化も行われるなど、駅の東西を結ぶ回遊性と利便性が高まりました。







趣ある文化と緑にあふれる落ち着いた街。
江戸時代から景勝地として愛され、現在でも寺社の多い谷中や広大な上野公園の豊かな緑を身近にする「日暮里」エリア。国立西洋美術館や東京文化会館など多くの文化施設、古くからの情緒を残しつつ個性的な雑貨店や飲食店が並ぶ谷根千エリア、ファッション素材を扱う店が多く集まりデザイナーが足を運ぶ日暮里繊維街など、多くの人が集まる人気スポットに囲まれています。下町の風情と温もりを感じる街並みには、いくつもの商店街やスーパーなどがあり、日常の暮らしを利便性で彩ります。
「日暮里の達人」に聞いた、
この街の魅力。

粋でお洒落な下町銭湯、
日暮里「斉藤湯」
下町の銭湯のイメージ、唐破風の外観に高い煙突、富士山のペンキ絵などとはかけ離れた、瀟洒な外観と開放的で清潔な内風呂。「お客さんが楽しければいい」という想いで、日暮里の人たちにとって欠かせないコミュニティの場所を提供している、店主の斉藤さんと店長のBOBさんにお話を伺いました。


お客さんが楽しい場所に。
斉藤湯は創業80年以上の銭湯、私(斉藤さん)は三代目店主になります。不況と言われる銭湯業界を盛り返したいという思いや、長年親しまれてきたこの場所をなくしたら困るお客さんも大勢いると思って、2015年にリニューアルしました。ラウンジは男女別にせず、家族やカップルで来て温まった人たちが一緒にのんびりできる場所に。ここで月2回程度の落語会なんかもやってます。みんなで落語聞いて、終わったら一緒に片付けて風呂入るの、楽しいんですよ。遠方から楽しみに訪れる銭湯ファンも多くいらっしゃいます。 お湯にもこだわっています。昔から下町の銭湯ってホントに熱かったので、子どもや熱い湯が苦手な人は風呂入って逆に疲れちゃう、だから0歳から90歳までみんなが寛げる湯温にして、やさしい超軟水を使っています。




ラウンジ脇のカウンターで提供するビールは、ビアマイスターの資格を持つ私(BOBさん)が、一杯ずつサーブしています。生ビールの命は鮮度ですから、大きなビールタンクではなく、手間でも小さなビールタンクをこまめに取り替えて。最近では若い女性もよく飲んでいかれますが、一杯200円のミニサイズから用意していますので喜ばれています。銭湯業界に入ったのは2年くらい前で、それまでは自営でバイクパーツやアクセサリーなどをネット販売していました。最初は閉店後の掃除を手伝ってたんですが、リニューアルを機に本格的に手を貸して欲しいと言われ、店長に。カウンター業務の他に設備の維持管理まで任されていますが、下町の人情が心地よい日暮里で、新しい銭湯の魅力を創っていけたらと思います。


妖怪大福、
日暮里「江戸うさぎ」
まん丸顔にとぼけた小さい目、大きな口にイチゴをほおばっている「妖怪★いちご大福」で有名な和菓子店、日暮里「江戸うさぎ」。そのユニークさからTVや雑誌、芸能人のツイッターなどでも度々取り上げられており、日暮里の名物になっています。その生みの親である工場長の佐藤さんにお話を伺いました。


「妖怪★いちご大福」。
「江戸うさぎ」はもともと、日暮里にある本社(菓子問屋・株式会社大藤)で取扱っている商品を売る直売所を兼ねて、お饅頭の製造販売もやっていました。お饅頭の他に大福もラインナップに加えたいと提案し、いちごをすべて包んだタイプや、大福のてっぺんから少し見えてるものなど試行錯誤したんですが、なかなかオリジナリティが出なくて。 ある時いちごを横から覗かせたものを本社に提案したら、なんだか顔のように見えると言われて。試しに黒ごまで目を入れてみたらかわいくなってしまい、これだ!と。かわいいお化けみたいで、谷中霊園の近くと言うこともあり“妖怪大福”と名付けました。表情の決め手となる目の位置は、手作業なのでどうしても表情に多少のばらつきはでますが、それもまた商品の味だと思ってください(笑)。



だからこそ生まれたお菓子。
本社の大藤が日暮里に店を構えてから60年以上、以来近隣の皆さんに支えられてこの街に根付いています。私は赤坂や箱根の和菓子屋で修行し、5年前からこちらで製造を任されているのですが、都内で交通の便も良く若い人たちも多いのに、ほっこりしているというか、本当に人情の温かさを感じる街です。よく近所のお客さんから差し入れをもらったり、最近では日本の下町の良さに気づいた外国の方もよくお見えになります。 妖怪大福のコンセプトが「谷中の墓地からやってきたいちご好きな妖怪」ですから、この街を離れるわけにいかないんです(笑)。大福の食品サンプル(※)も女性を中心に人気があり販売もしているほどで、これからも日暮里の街を象徴するお菓子として、多くの人にかわいがられてほしいと願っています。

東京都荒川区西日暮里2-14-11
電話:03-3891-1432
営業時間:9:00〜18:00(冬季営業17:30まで)
休日:日曜・祝日(臨時休業あり)
http://shop.omiyage-daito.com
取材日/2017年1月

フォンデューやラクレットなど、本場のスイス料理が楽しめるカフェとして、多くのメディアにも登場する「シャレー スイス ミニ」。日暮里の閑静な住宅地の路地裏に、スイスのレマン湖地方の山小屋をイメージしたログハウスが印象的なお店を開いて20年近くになる、スイス出身のオーナー、デニーさんにお話を伺いました。


若い頃からアジアの各地を旅して、人々や文化に触れるのが好きだった。その後結婚して日本に住むようになったんだけど、東京は緑が少ないし、親子連れでゆっくりお茶を飲める場所もあまりなくて。そんな時にこの土地を使えることになり、この辺りはお寺が多いから緑も豊かで、車の通りも多くないから静かですぐ気に入ったよ。
自然の中でみんながほっとできるスイス風のカフェを作りたくて、1998年にこの店をオープンした。バルコニーのブランコや店内に子供用の玩具を揃えたり、お母さん達のリラックスの場所として、小さな子どもを持つ親子連れのお客さんからも、すごく喜んでもらってる。それと毎月1回は、お店が休みの日に店内と庭を無料で開放するデニーランドっていうイベントをやっているんだよ。




せっかくお店もスイスのシャレー(山小屋)に近いものにしたんだから、スイスの食べ物も出したいなと、日本でも知られてるチーズフォンデューやラクレットを出すようになったんだ。ぼくはハーブが好きで料理にも欠かせないから、うちのガーデンでも約100種類のハーブを無農薬で育ててる。この道灌山は江戸時代には薬草も栽培してたみたいだから、良いハーブが育つのかもしれないね。
たまにスイスに帰りたいと思うこともあるけど、やっぱり日暮里の街が好きだからね。ここでお店をはじめてもう20年近く、昔うちで遊んでた子どもが大きくなって久しぶりに「まだあったんだ!」って訪ねてきてくれたときは嬉しかったよ。この街の皆に愛されているんだってね。

東京都荒川区西日暮里3-3-12
電話:03-3891-1432
営業時間: | 火・水・日/10:00〜19:00 |
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木・金・土/10:00〜21:00 |
月曜日(祝日の場合営業、翌日休み)
http://www.chaletswissmini.com/
取材日/2017年2月

